当社は2021年7月に気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures、以下TCFD)提言に賛同しました。また、環境省が実施した「令和3年度TCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」に応募し、支援対象企業に選定されました。TCFD提言における要求項目の内、「戦略」項目について推奨されるシナリオ分析に関して、リスク重要度の評価・シナリオ群の定義・事業インパクトの評価等を行い、今後の方向性を検討しました。今後、シナリオ分析を深めて、当社の経営戦略に生かすとともに、TCFDの提言に基づき積極的に情報開示を進めていきます。

 

 

シナリオ群の定義

シナリオの前提

当社は、シナリオ分析の前提として、2050年時点における気温上昇について、4℃及び1.5℃シナリオを選択し、リスク重要度の評価及び事業インパクト評価並びに対応策の定義について検討しました。

 

シナリオ定義:

気温上昇4℃シナリオ

現状を上回る温暖化対策をとらなければ、産業革命時期比で3.2~5.4℃上昇

気温上昇1.5℃シナリオ 抜本的なシステム移行が達成された場合、高い確率で産業革命時期比で1.5℃未満の上昇

 

なお、当社は石油精製/販売事業のみの単一セグメントのため、シナリオ分析においても石油精製業を対象範囲として選定しています。

2050年代における気温上昇4℃及び1.5℃の世界観

<気温上昇4℃の世界観@2050年代>

低炭素化・脱炭素化は推進されず、物理的リスクが高まる

 

<気温上昇1.5℃の世界観@2050年代>

脱炭素への外圧が強まる中で、製油所の低炭素化や脱炭素燃料への転換が進む

 

設定パラメータ

気温上昇4℃シナリオ及び1.5℃シナリオの世界観において想定されるパラメータは以下の通りです。

 

リスクと機会

選択したシナリオにおける当社事業のリスクと機会を検討し、影響度の大きいものについて以下の通り整理しております。

 

事業インパクト評価

上記のリスク・機会の各項目について、「製品需要の変化」と「コストの増加」という2項目に改めて整理をし、損益へ与えるプラス(+)またはマイナス(▲)のインパクトについての試算を行った結果を記載しております。なお、1.5℃シナリオにおいては2030年から2050年にかけてのインパクトの変化の方向性を矢印で示しております。

 

対応策

上記の事業インパクト評価項目につきまして、今後の対応の方向性を検討しました。

 

今後はシナリオ分析の結果を踏まえ、現状の事業戦略に追加すべき要素の検討、リスク・機会に関する定期的なモニタリング・シナリオ分析高度化推進のための体制構築に関する検討に取り組んでまいります。

 

また、長期的には、シナリオ分析の継続的な実施と高度化、対応策の具体化と事業戦略への反映、ステークホルダーの皆様からのフィードバックを踏まえた開示内容の拡充を進めていくことで、企業価値の向上により一層努めてまいります。