当社の企業理念である『安全の確保と地球環境の保全』には、袖ケ浦製油所の操業の安全だけではなく、「安全な製品を供給する」、「地球環境全体に配慮した企業になる」という意味も込められており、使用時に環境負荷が少ない石油製品の供給に努めるとともに、袖ケ浦製油所の操業に伴う大気・水質汚染への対策やCO₂排出量の削減に取り組んでいます。
袖ケ浦製油所では、地球温暖化を防止するために、設備の高効率化、熱回収率の向上、高度制御の導入等、徹底した省エネルギー対策を一層深化・加速させています。2050年カーボンニュートラルに向けた対応として、2050年度には自社事業で排出するCO₂をネットゼロとすることを目指すとともに、供給するエネルギーの低炭素化等を図ることにより、社会全体のカーボンニュートラル実現に貢献します。
地球温暖化防止に向けた政府の施策に対応し、植物由来のバイオエタノールと石油系ガスのイソブテンで合成した「バイオETBE」を配合したレギュラーガソリン、プレミアムガソリン(ハイオクガソリン)の供給を行っています。
※バイオETBEの原料は植物であり、成長過程で光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収しているため、ガソリンとして使用した際に燃焼によって二酸化炭素が発生するものの、排出量とみなされず、カーボンニュートラルな燃料と言えます。
当社子会社である富士臨海(株)は、当社の中袖原油備蓄基地内の遊休地を利用した太陽光発電事業(発電能力:1MW)を行っています。これにより、クリーンなエネルギー供給を行い、環境負荷低減に貢献しています。
燃料・電力・蒸気等のエネルギーの消費に伴い、製油所で排出するCO₂は右のグラフに示すとおりとなっています。省エネルギーの推進によりCO₂排出削減に努めています。
当社は石油精製/販売事業を行っており、製油所の操業に伴うCO₂排出量(Scope1+Scope2)と比較して、原材料である原油の生産時や当社の製品をお客様が使用する際のCO₂排出量(Scope3)が非常に多いという特徴があります。当社では、2030年度には自社事業で排出する年間CO₂排出量(Scope1+Scope2)を2014年度と比較して20%以上削減することを目指しており、さらに長期において、2050年度には自社事業で排出するCO₂をネットゼロとすることを目指すとともに、供給するエネルギーの低炭素化を図ることとしています。
2024年度の温室効果ガス排出量については、これまで算定してきた「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」に基づくCO₂排出量の報告数値に加え、製油所からのCO₂排出量のみならず、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量を算定しました。2024年度のサプライチェーン温室効果ガス排出量の算定結果は下表のとおりです。
2024年度 Scope別CO₂排出量
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(注)本表の自社排出量(Scope1,2)はGXリーグ算定・モニタリング・報告ガイドラインに基づき算出しており、前述のCO2排出量推移の実績値とは算出方法が異なります。
石油連盟は2010年度に低炭素社会実行計画を策定し、2010年度以降の省エネルギー対策により、2020年度において原油換算53万kLの省エネルギー対策量を達成することを目標に掲げていました。
当社ではこの低炭素社会実行計画に対応するため、第2流動接触分解装置のパワーリカバリータービン発電設備を建設し、2015年度より運転を開始しています。2017年度にはアスファルトピッチを燃料とする自家用ボイラー・タービン発電設備の本格的な運転を開始しています。これら省エネルギーのための投資工事により、当社担当分の省エネルギー目標値を達成しました。
その後、石油連盟では、2020年以降の温暖化対策に関する国内外の議論の高まりや、経団連からの呼びかけを踏まえ、2030年度を目標年次とする低炭素社会実行計画(フェーズⅡ)を策定しています。当該計画では、それまでの取り組みの継続性を考慮した製油所の省エネルギー対策に関する目標として、2030年度において原油換算100万kL分の省エネルギー対策量を達成することを掲げていました。当社においても、発生する熱の更なる有効利用や高効率機器の導入などを検討・実施することで省エネルギー対策を継続的に推進し、この計画に対応していきます。
当社の省エネルギーに関する目標の達成状況としては、第三次中期事業計画で掲げた環境目標である「製油所における省エネルギー量 15,000kL-coe/年※」を達成したほか、エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律の努力目標である5年度間平均エネルギー消費原単位の年1%以上の低減を達成し、事業者クラス分け評価制度において、Sクラスの評価を獲得しました。
※2021年度から2025年度までの省エネルギー投資/活動により、省エネ対策を行わない場合と比較して、原油換算で年間15,000kL分のエネルギー使用量の削減を達成する。
袖ケ浦製油所内の蒸留塔塔頂熱(~115℃程度の低温排熱)を利用し、発生した高圧アンモニアガスでタービンを駆動させ発電するシステムで、2006年10月から運転中です。
この熱源は、従来、空冷式熱交換器で大気に放出されていた排熱を新たに設置した熱交換器で熱回収して利用するため、発電量に相当する分の化石燃料の削減が可能となりました。
コンビナート内の大型プロセスプラントの低温排熱を直接熱交換して利用した発電システムとして、世界に先駆けて実証したもので、運転安定性に優れたシステムです。
袖ケ浦製油所では環境保全の推進のため、事業活動に伴う環境負荷の低減に継続的に取り組んでいます。
|
大気汚染対策 |
製油所からの硫黄酸化物、窒素酸化物等の排出を抑制するための環境対策の実施 |
|
水質汚濁防止、水資源の節約 |
生物処理装置、凝集沈殿処理装置等による廃水の浄化、工業用水の再循環使用による水資源の節約 |
|
化学物質の管理 |
特定化学物質の適正管理、有害化学物質であるベンゼン等の製造施設の密閉構造化、タンクの内部浮屋根式化による揮発性有機化合物の大気への排出量の削減 |
|
廃棄物抑制・リサイクル対策 |
産業廃棄物最終処分量の大幅な削減 (業界の削減目標89% (2000年度比)に対し、既に100%達成)、再利用方法の開拓の促進 |
|
海上油濁防止対策 |
流出油防止堤、流出油検知器等の設置、油濁防除資機材の確保、流出油防止訓練への積極的参加 |
ボイラーや加熱炉などから発生する大気汚染物質とされる硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、ばいじん等の排出を抑制するために、各種の環境対策を行っています。袖ケ浦製油所では、サルファーフリー化されたガソリンおよび軽油(硫黄分 10ppm(質量)以下)を、法規制に先駆けて2005年より供給を開始するなど、SOx、NOx、ばいじんの排出量低減に努めてきました。
SOx発生の原因となる硫黄分は、精製過程で液体硫黄として除去・回収し、製品として出荷しています。なお、2020年1月から開始した舶用向け燃料油の硫黄分規制に対応した船舶用低硫黄重油の出荷を規制前の2019年10月より開始しています。
NOx発生の原因となる窒素分は、液化アンモニアとして回収し、製油所のボイラーにて原油由来の燃料と混焼させる実験を継続しています。またボイラーの排ガスに含まれるNOxは排煙脱硝装置により処理しています。
硫黄回収装置
COボイラー排煙脱硝装置
10号ボイラー発電所の乾式電気集塵機
袖ケ浦製油所内で発生する各廃水は、微生物水処理装置、凝集沈殿処理装置、活性炭吸着処理装置で処理し、COD(Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量)、全窒素、全りん、浮遊物質等を総量規制値より十分低い負荷量に低減し、放流しています。
袖ケ浦製油所で発生する産業廃棄物としては、排水処理汚泥、廃油、スラッジ、廃触媒、廃酸、廃アルカリ、保温屑、金属屑等があります。石油連盟は産業廃棄物最終処分量(産業廃棄物の再資源化ができず埋立処分した量)を2025年度において2000年度比96%削減、さらに最終処分率1%以下(ゼロエミッション)を維持·継続するという目標を掲げ活動中ですが、当社は産業廃棄物の減量化と再資源化に向けた努力の結果、2001年度から最終処分率1%以下を継続しています。
|
年度 |
産業廃棄物最終処分量(t) |
最終処分率(%) |
|---|
|
2020 |
0 |
0.00 |
|
2021 |
1 |
0.00 |
|
2022 |
0 |
0.00 |
|
2023 |
0 |
0.00 |
|
2024 |
0 |
0.00 |
袖ケ浦製油所は、第1・第2流動接触分解装置と減圧残油熱分解装置を組み合わせることによって、重質油を分解して高付加価値のガソリン、灯油、軽油等の白油を製造し、高硫黄C重油をほとんど生産しない製油所となっています。最終生産品に占める重油やアスファルトなどの生産割合をできるだけ小さくし、需要が多く、より高付加価値の白油の生産割合を大きくすることで競争力を確保するとともに、資源の有効利用に貢献しています。
減圧残油熱分解装置については2017年3月に設備能力を日量3千バレル増強し、日量3万3千バレルに変更したほか、2017年6月に第2流動接触分解装置の設備能力を日量3千バレル増強し、日量2万4千バレルに変更しており、資源を有効に活用しつつ、競争力強化に努めています。
第2流動接触分解装置
減圧残油熱分解装置